当たりくじ

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最近変だ。 どうかしてしまっている。 駅の前で友達と待ち合わせをしているのだけど、どうも頭の中でたくさんのキーワードが書き混ざっている。 どうしてそういう思考になるのだろう。 貴方の頭の中をのぞきたい。のぞいて私の欠片をポイっと投げてやる。 ネタの中でもいいから、ナナって呼んでよ。 ふと横を見ると小さな宝くじ売り場がある。 『スクラッチでもやるか。』 1000円分くださいと受付のおばさんに話しかけると笑顔も見せずに何セットか差し出してきた。 わたしは適当なセットを選ぶと財布に一枚だけあった5円玉を摘み取る。 何でもかんでも縁起を担ぎたくなる。神頼み。 『名前を呼んでほしい』 関係ない関係ないっ。 はやくあの子こないかなとおもいつつ削ろうとすると「丁寧」という字を見つける。 きっと貴方なら、汚くおおきく書いて、「腑に落ちない」なんていうんだろう。 思い出し笑いをしながらすべて見るとどれも当たっていない。 そんなもんだ。宝くじなんて。 はずれになった紙切れを愛想のないおばさんに返すと、左手に持っていた財布を逆さまにしてしまったようで、小さなものが大きな音を立てて散らばった。 『つ、ついてない・・・。』 なんだか友人に会う前に自分で自分のテンションを下げてしまったと、半分面白くなってしまったため息が、不意の出来事に絡む。
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