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少し大柄ながらもすっきりとしたスタイルが私の目の前を右往左往する。
「あ、すいませんっ!!自分で拾えますから・・・ぁ。」
それはもう、なんというか息を呑むってこういうことかというくらい呑み込んだ。
でも理解できなかった。
目の前にいるのである。いつも腑に落ちないあの人が。貴方が。
「あ、、、ぁ、、っは!」
本当にめがねと帽子とマフラーはしてるんだ。
かわいいマフラー。センスいいなぁ。
なんて体の反応とは反対に、必死だった。
瞼に焼き付けたい。この衝動はだれでも思うことでないだろうか。
「ありがとうございます!!あの、こ、小林けんたろう・・・さん・・・です・・」
ま、まずい!!疑問系で話せなかった!!
「こ、小林賢太郎さんです。」
あなたはいつものはにかんだ笑顔で答えてくれた。
それは小さな小さな声で。
そりゃそうだ。こんな都内のど真ん中の駅前だ。
なにしてんの!としか思えない。
なにをしてるの?どこへいくの?だれとあうの?
そんな問いをすればよかったと思えたのも後日のことだ。
「あぁ!!すいません!!」
私の膝あたりが急激に熱くなる。見ると褐色の液体がかかっている。
あれ?コーヒーは飲んでいないのに・・・
と駆けた疑問たちは目の前の貴方が簡単に解決してくれた。
「熱くないですか?!あぁ~ダメだ。弁償します。すみませんっ!」
目の前に現れたことだけでも驚いて喉が鳴らないのに、今度は貴方がもっているハンカチで私の膝を拭いている。
ああぁぁ・・・倒れそうだ・・・。
「あ、ちょっと!!」
こんな驚いたのは何年振りだろう。
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