感冒薬と鋏

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「もうちょっと休んでてよかったのに。賢太郎さんちょっと癇癪おこしそうだよ。」 「え?あれからまだやってたの?」 「ああ。この壁を突破しないと眠れない、とかなんとか。」 …また駄々をこねている。 彼は一見凄く大人に見える、がその実態はすごく少年のままの気がしてならない。 「賢太郎さん、おはようございます。」 「んあぁ、おはようゆか。」 「ちょっと休憩したらどうですか?」 「いやもうちょっと…」 「アシスタントの分際でこんなこというのもアレですけど、  賢太郎さんはギリギリまで粘って無理しますから。皆も心配してますし。」 黒板の前に座っている彼に、私は嫌われてもこんなことしか言えなかった。 「三時間!三時間でいいですから寝て下さい。ほら、はやく!」 「あっ!ちょっと!わ、わかった!わかったよっ。少し休ませてもらうよ。」 そう言うと賢太郎さんは二階へと上がっていった。
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