感冒薬と鋏

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「さすがゆか。お前しかあんなこと言えないよ。山田さんはともかく。」 「嫌われてもいいんですよ、私。身体壊されたらたまったもんじゃありませんから。」 「そりゃそーだ。」 賢太郎さんが寝ている三時間、私たちはメモにある買い出しに行っていた。 大概必要なものは近くの東○ハンズで揃うのだけど、 運悪く品切れになった発砲スチロールを買う為に買ったものを置きに一人アトリエに戻った。 「戻りましたー。っても寝てるか。」 細々した袋を開封しようとはさみを取ろうとするがいつものところにない。 「あれ?いつもこの箱にはいってるのにな…」 アトリエをぐるっと探すがないものはない。 困った。外のアシになんか言われそうだ。 賢太郎さんがどこにしまったかはわからないので想像してみると 「あった。」 二階に上がる時、一緒に持って行ったようでベットサイドのテーブルに置いてあった。 私は起こさないように四つん這いになり、そろりそろりとテーブルに近づく。 テーブルに手をかけた瞬間、はさみの隣に置いてあったものが音を立てて転がり落ちた。 「…ん。」 「あ、すいません。起しちゃいました?寝てていいですから。」 どっかでこんな文章聞いたな…、と思いながらはさみを手にすると、 賢太郎さんは私の腕を掴みぐるっと回した。 「…いま、何時?」 掴まれた腕は左なので角度を変えて 「十七時です。」と時計を見せながら伝える。 なんだか熱い。 「頭痛い。くすりとって。」 ほぅら、言わんこっちゃない。といってやりたかったが 本人もわざと風邪をひきたいわけではないので小さなため息で済ます。
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