其の壱

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鬱蒼と木々が生い茂った森を一人の手負いの男が彷徨っていた。 「はぁはぁ…くそっ!どこか隠れる場所はねぇのかよ!」 ガサッ 「おぃ、いたか?」 「いや、だがあの傷だ。そう遠くには行ってないはずだ。暗くなる前に探せ」 男は樹の茂みに隠れ追ってが過ぎるのを待った。 しばらくやり過ごすと、人の気配は消え森にはまた静寂が訪れる。 「ちっ、行ったか。でも早くここから離れないとやべーな。気はすすまないが、今日はこの森で夜を明かして、明け方にでも川を下ってどこかの村に隠れよう」 そう呟くと男は、周りに気を配りながら川を求めてさらに森の奥へと入って行った。
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