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「ありがてぇ、このまま匂いを辿れば村があるかもしれねぇ。こんだけ、奥に入って行ったんだ、もしかしたら山ひとつ越えたのかもしれねぇな。追ってもまさかこの傷で山を越えられると思ってもねぇだろう」
そういうと、自分の傷を見て顔をしかめる。
男の腕には刀で腕を斬られたのだろう、腕に一筋の傷が出来ていた。
深手と言えば深手なのだが、医術にも精通していたお陰で血止めを施していたため、血で後を追われる心配はなかった。
あとは、どこかで治療しうまく逃げられればいいのだが…と考えを巡らせながらも足は匂いの方へと進めて行く。
やがて、日もどっぷり暮れた頃、男は一軒の家を見つけた。
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