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すると、ススッと少しだが扉が開いた。
そして、戸から覗く顔に男は息を飲む。
「あなたお独りですか?」
か細い声で問われて、ハッと我にかえる。
「あぁ。ちょっと怪我しちまって…すまねぇが酒か何か消毒できるもんでもありゃ分けてもらえねぇか?」
女は少し思案したが、困っている者をほっておけないのだろう…ゆっくりとだが扉がひらかれた。
「こんな夜更けでは大変でしょう。明りのあるところで手当てしてください」
と囲炉裏の前まで案内してくれた。
家は小さく質素なものだったが、こんな山奥で住むには十分なものだった。
「悪ぃな。いきなり夜遅くに男なんて…しかし、お前さんこんな所で独りで住んでるのかい?」
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