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『…』
昨日のこと思い出すと、涙が止まらない。
同じクラスだから慎二に会うのは当然なんだけど、あっちから視線をそらされると流石に傷付く。
確かに慎二からすると、私に手酷く裏切られた気分なんだろう。
でも…
ああでもしなきゃ、別れられなかったでしょう?
――私は、何気なく窓の外を覗いた。
窓際の一番前の席は、私のお気に入りの席だ。
「灰麗、」
『んー?』
「次移動だよ?」
『んー…』
女子友達の唯が私の顔を覗き込むのも知らないふりして、ただ窓の外の桜を眺める。
今年でこの桜を見るのも最後なんだな、なんて思うと愛着だってわくでしょ?
「昨日泣いたね?」
『さぁ』
「強がらないの。」
『んー。』
強がらない、そんなことしたら壊れそうで。
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