ファーストコンタクト

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『いいよ、移動なんでしょ、行こう。』 「…ばか。」 優しくされたらまた泣いちゃう。 だから、優しくなんかしないで。 恋の終わりは、いかに自分を抑制するかだと思う。 だってそうでしょ。 きっぱりと思いを捨てるなんて無理だから。 どんなに嫌いになっても、思い出が全部台無しにする。 私は、静かにノートの上に教科書を重ねた。 次の時間は英語だったはず。 一番の得意教科だから、少しくらい考え事してても許されるでしょ。 足を進める度に泣きたくなる。 教室の扉にもたれて私を待ってる、“いつもの”慎二に少し期待しちゃって…。 「灰麗」 『んー?』 「今日新しい先生来るんだってさ、ほら、新城が産休だから」 『女?』 「さぁ。」 正直どうでも良かった。 まぁ新城先生がスパルタだったから、変わってくれるのは嬉しいんだけどね。
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