疑う心

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「実は、以前、僕はこの店で働いていたんですよ。」 「そうなんですか?」 「でも、大学時代なので…あ・でも、恵美子さんはいましたけどね?店長さんになったなんて、びっくりしました。」 「恵美子さんは、このお店にとって、無くてはならない存在なんです。お母さんみたいだから…」 「そうですね、それにしても…ここの店に来れて良かった。」 パタリと足取りを止めた牧野さんを振りかえる。 「牧野さん?」 「…僕は、いつも…人のものが欲しくなるんです…」 と、私の肩に掛かった髪をひとすくいして、そこにキスを落とした。 「じょ、冗談は止めて下さいよ~!」 恋愛に不慣れな私は、こういうシチュエーションが苦手だ。 ましてや… ヤキモチ焼きの翼さんにこれが知れたら… …。 まずい。 出来るだけ、牧野さんに必要以上に近付くのは止めよう… 案外軽い人なのかもしれない… .
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