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たとえもう二度と会えなくなるのがわかっていても…
運転中に鼻毛を抜きますね。
その日は3本いっぺんに採れました。
「そのくらいオレだってあるぜ!」
と、みなさん思うでしょう。
でもその日は特別でした。
3本ともそろって白髪なのです。
しばらく右手の人差し指を見つめていました。
教習所の教官は言いました。
「ハンドルはしっかりと両手でハの字に持て!」
と。
しかたなく中指でパワーウインドーのボタンを押します。
白鼻毛は叫びます。
「あたし達が4人そろう事なんてめったにないのよ!四つ葉のクローバーより珍しいのよ!」
ん??
4人??
もう一度指先を見た。
いたっ!
透明な細身の娘が…
一度はこの娘達と生活を共にする事も考えた…
でも…
もしも事件に巻き込まれた時…
右手に4本の白鼻毛がついていたら捜査を撹乱する事になるんじゃない?
自然の物は土に還すのが当然だろう!
いつの時代もマスコミは辛口だ。
そっと右手を窓の外に出した。
なかなか立ち去ってくれない。
いなくなったと思ったらツメの方まで逃げてくる娘もいた。
めちゃくちゃに手を振る。
そして誰もいなくなった…
男の鼻道というものだろう…
鼻から涙があふれて止まらなかった。
-終わり-
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