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…翌朝。
つまり、10月4日の朝。
跡部が学校に登校すれば行き交う生徒に全てに誕生日を祝う言葉が飛ぶ。
中にはプレゼントまで用意している生徒も居る。
跡部は面倒と思いながらも一人一人の生徒全てに笑顔で感謝の言葉を述べる。
貰ったプレゼントを教室に置くのは邪魔だと思い部室へと足を運ぶ。
ドアを開ければそこには暗い顔をした忍足がソファーに座っていた。
「景チャン…なんで昨日電話繋がらなかったん?」
「は?」
跡部は手に抱えていたプレゼントを机に置きながら眉間に皺を寄せ忍足を見る。
「せやから、なんで携帯繋がらなかったんか聞いとんの。折角誰よりも早くお祝いの言葉言おう思ったんに…俺の計画が丸つぶれやん」
「お前の計画なんて知らねぇし。昨日は11時頃寝たから携帯繋がらなくて当たり前だろ」
「…景チャン、まさか‥電源切って寝とるん…?」
「あん?当たり前だろうが。俺様の安眠を邪魔されたくねぇからな」
「け、景チャン…そういう事は早く言うてや!!俺そんなん知らんし!!」
「別に言う程の事じゃねぇだろうが」
「彼氏にはそういうのちゃんと言わなアカンの!!何かあってからじゃ遅いやないか!!」
「はぁ?お前何言ってんだ?意味分かんねぇ事言って…!?」
忍足の意味不明な言葉に不機嫌な表情で返そうとしたが、突然忍足に抱きしめられれば戸惑いの表情に変わり。
「ちょ…忍足…?」
「景吾…誕生日おめでとう。生まれて来て、ありがと…」
耳元で甘く囁かれれば擽ったさから肩を竦めながらも心地いい温もりと声色に跡部の表情も自然と穏やかな笑みに変わり。
「…侑士……。
…誰に言われるよりお前に言われるのが1番嬉しいぜ」
お互いの顔の距離がユックリと近付きお互いの唇が触れ離れれば微笑み合う。
そんな些細な事が跡部にとっては最高のプレゼントでもあり。
跡部もまた、忍足に出会えた事に感謝する。
どうか、この人といつまでも一緒に居られますように…
***End
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