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少年「ふぁ…あ」
太陽が少し昇った頃、少年は欠伸をしながら道をゆっくりと歩いていた
腰には小さな体に不釣り合いな大小の刀を差し、背中には風呂敷
小綺麗な着物だが旅をする人間の格好をしている
少年「流石に一晩ぶっ通しで歩くと疲れる…でもこんなとこで止まってらんないもんなぁ」
ブツブツと独り言を言いながら溜め息を付いたりと忙しい彼は笠を外した
少年「あっついな…汗かいてきた」
栗色のサラサラした髪は右下に軽く結んであるが左端の髪は短すぎて結びきれずに少し残っている
懐から手拭きを取り出し額に滲む汗を拭く
一重瞼にやる気を感じさせないトロンとした大きな瞳
白い肌に、薄紅色のふっくらとした唇で憂鬱そうに再び溜め息を付く
そんな彼はなかなか綺麗な整った顔立ちだ
目にやる気を感じさせないのが残念ではあるか…
少年「ふふふ、"吉田先生"ねぇ…。相も変わらず馬鹿な事してるなぁ」
春に届いた文を読みながら、今度は何が可笑しいのか笑いながら歩く
もっともやる気を感じさせない目は笑っていなかったのだが
†
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