ひとぉつ

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少年「虎之助のやつ…ほんっと気に食わない」 口元だけの素敵な笑顔で手紙を送ってきた主に対し、文句を言いだす少年 かといって、その手紙をグシャグシャにするとか捨てるとか破るとかするわけではなく丁寧に折り畳み大事そうに懐にしまうのだ なんとも矛盾した行動だが本人は気にも止めずにふらりふらりと歩き続ける 少年「そっちに今向っています。ぶっ殺される覚悟は出来てんのこのヒョロヒョロ野郎。だから女もろくにできないんだよ学問馬鹿。…とかで良いかな返事。でもあいつに対したら全然ムカつかないよな?いや、てか僕いい子だから仕方がないよね?」 手紙の返事を喧嘩するように考えるがあまり良い案が浮かばないようだ 彼はもう一度手紙を取り出す ――――――――――――――― いやはや、昨年は君も知っての通り獄に入れられ実に憂鬱な年だった… しかし、私はそれなりに充実した投獄生活を送る事ができたと思う 何故かと言うと…まぁ、簡単に言えば囚人達に講義をしていたからなんだ 講義をする事の楽しさを知ってしまった そこで私は獄を出された今、私の家である杉家で"松下村塾"と言うものを開く事にした と、言ってもまだ塾ではない 私の親族が私の講義を受けてくれているだけの名だけの塾だ しかしここには優秀な者が少しづつ集まるだろう …君も暇があるなら是非とも講義を受けに来てくれ 虎之助 ――――――――――――――― 少年「僕に時間が無い事を知っててやってるからまた憎たらしいオッサンだ」 それから彼が手紙の返事を書いたのは夏の終わりの事だった †
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