Edge1

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 2037年 某日――。  どことなくピリピリとした日常が続いていた。いや、無理もないと言えばそうかもしれない。既に、備え付けの磁気メーターの針は佳境を越えていた。  今日は久々の高電日らしい。もっとも、あの頃に比べればこのピリピリとした気配も和らいだものだし、慣れも出来てきた。  僕はゆっくりと起き上がると、むさ苦しい暑さの中に身を投げ入れた。ベランダの先には、雲一つない晴れ。そして、降り積もる怠惰。天気が良いのに気が晴れないのはこのせいだろうか。だとすれば、今日はあまり外に出たくない。  しかし、時間がそれを許さなかった。立て掛けられた振り子時計の針は朝の中心よりも二つ下を指し、短針は天を見据えて立っている。  僕は既に整えきった顔を再び鏡に写した。少し隈が出来ている気がするが、気にしない。その後居間で一口水を飲んでから、いよいよ家を出た。
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