Edge1

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 僕は再び雑誌に視線を落とした。特集と書かれたページには、今急速に若者の間で流行りだしたバンド、『Sleipnir』のライブの写真がデカデカと載せられていた。僕はこのバンドの曲をあまり聞かないせいか、名前ぐらいしか知らない。そのせいなのか、たまに僕はアナログ人間扱いされる。 『次はー、学園前ー、学園前ー、お降りの方は――』  もはや聞き慣れたアナウンスが車内に響く。僕と妹はすくっと立ち上がると、降りるために前へ向かった。  御国学園は、その名に国とはつくが国が経営している学校ではなく、私立の学校だ。  僕らはとても私立に通えるほど恵まれた家には産まれてきてはないが、この学園は三年前から、五年前の事件で親及び財産を失った家庭の子供を対象に、特別授業料で学校に入学させる制度を導入した。僕と妹も当然その制度によって入学出来たわけで、僕らと似たような状況の学生がこの学園には何百人もいる。
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