第一章 カタストロフィ

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第一章 カタストロフィ

人間とは儚くも脆く軟弱な生き物だ… 牙もなく厚い皮や大きな身体、翼やエラも持ち合わせていない 多数の目や脚、羽がある訳でもない もう一度言う彼らは軟弱な生き物だ… だが彼らには知能と言葉、コミュニケーション能力がある その力をめいいっぱい使う事で、自然の中を君臨しているのだ もし彼らヒューマンが、動物や虫のように特別な力を持っていたら… 妄想に浸るだけなら誰でもできる… そう、それが妄想から現実になった時、全ての理が崩れさるのだ 男『どうだい?面白いお話だろ?』 白髪混じりの男性が、小さな女の子に本を読んであげていた 女の子『お父さん!それって現実になっちゃったの?』 答えの知りたい女の子は、興味津々で父親を見ている 父親『これから現実になるんだよ志乃』 白髪混じりの男性は、軽く娘の頭をぽんっと叩くと椅子から立ち上がる 父親『着いてきなさい』 志乃『わかった!でも何処へ向かうの?』 父親『母さんには内緒の場所さー』 志乃『内緒の場所?』 父親『父さんの仕事場だよ』 志乃『わぁーい♪』 〓20年後〓 2007年7月某日 ミーンミーンミンミー 当駅では禁煙となっております いつものようになり響くアナウンスとセミの鳴き声 汗でびっしょり濡れたTシャツをパタパタさせながら、長身の若者二人が電車を待っていた 中性的顔『やっぱり暑いな…』 ガッチリ男顔『違ぇねぇ』 中性的顔『こんなに暑いんだったら部屋でのんびりしてれば良かったな』 ガッチリ男顔『せっかく福岡に帰って来たんだからそう言うな有斗』 有斗『まっそれもうだな…ジュースくらい奢れよ赤!もちろん炭酸!』 赤木『仕方ない!金は腐るほどある!』 有斗『……』 赤木『言ってみてぇー!』 財布から小銭を取りだし自販機にお金を入れる 有斗『んじゃこれっと!』 目当ての炭酸と、ブラックコーヒーのボタンを押す ピッ…ガコンの音と共に、缶ジュースを口にくわえてコーヒーを取りだし、赤木にも渡す 赤木『おっサンキュー』 有斗『ちょっとタバコ吸いたいから、喫煙所いかね?』 赤木『もう改札通ったぞ?』 有斗は指をさす その方向には駅の外へ抜けれるようになってるフェンスがある 赤木『なるほど!』 有斗『まだ時間ちょっとあるし大丈夫しょ』 そう言ってフェンスを潜り二人は外へ出る
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