15人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
第一章 カタストロフィ
人間とは儚くも脆く軟弱な生き物だ…
牙もなく厚い皮や大きな身体、翼やエラも持ち合わせていない
多数の目や脚、羽がある訳でもない
もう一度言う彼らは軟弱な生き物だ…
だが彼らには知能と言葉、コミュニケーション能力がある
その力をめいいっぱい使う事で、自然の中を君臨しているのだ
もし彼らヒューマンが、動物や虫のように特別な力を持っていたら…
妄想に浸るだけなら誰でもできる…
そう、それが妄想から現実になった時、全ての理が崩れさるのだ
男『どうだい?面白いお話だろ?』
白髪混じりの男性が、小さな女の子に本を読んであげていた
女の子『お父さん!それって現実になっちゃったの?』
答えの知りたい女の子は、興味津々で父親を見ている
父親『これから現実になるんだよ志乃』
白髪混じりの男性は、軽く娘の頭をぽんっと叩くと椅子から立ち上がる
父親『着いてきなさい』
志乃『わかった!でも何処へ向かうの?』
父親『母さんには内緒の場所さー』
志乃『内緒の場所?』
父親『父さんの仕事場だよ』
志乃『わぁーい♪』
〓20年後〓
2007年7月某日
ミーンミーンミンミー
当駅では禁煙となっております
いつものようになり響くアナウンスとセミの鳴き声
汗でびっしょり濡れたTシャツをパタパタさせながら、長身の若者二人が電車を待っていた
中性的顔『やっぱり暑いな…』
ガッチリ男顔『違ぇねぇ』
中性的顔『こんなに暑いんだったら部屋でのんびりしてれば良かったな』
ガッチリ男顔『せっかく福岡に帰って来たんだからそう言うな有斗』
有斗『まっそれもうだな…ジュースくらい奢れよ赤!もちろん炭酸!』
赤木『仕方ない!金は腐るほどある!』
有斗『……』
赤木『言ってみてぇー!』
財布から小銭を取りだし自販機にお金を入れる
有斗『んじゃこれっと!』
目当ての炭酸と、ブラックコーヒーのボタンを押す
ピッ…ガコンの音と共に、缶ジュースを口にくわえてコーヒーを取りだし、赤木にも渡す
赤木『おっサンキュー』
有斗『ちょっとタバコ吸いたいから、喫煙所いかね?』
赤木『もう改札通ったぞ?』
有斗は指をさす
その方向には駅の外へ抜けれるようになってるフェンスがある
赤木『なるほど!』
有斗『まだ時間ちょっとあるし大丈夫しょ』
そう言ってフェンスを潜り二人は外へ出る
最初のコメントを投稿しよう!