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「…まぁ、とにかく。ハラハラしたのと首絞められたので痛み分けな。」
懍は笑って言った。
首を絞められた方が対価が大きい気がするが、懍が言ったのだから別に良いだろう。
「…てか、新学期初日だからなー。担任とも口合わせときたいし、クラスの雰囲気掴んどきたいしなー。拓海と棗はどうする?」
「うーん…、俺は行こっかな。懍がキレた時に俺がいないと、止まんないからなぁ…。」
「じゃ、俺も。マイハニー達には謝っとこ。」
拓海の言葉に反論したが、いかんせん事実に勝つ事はできなかった。
「お前ら…。教師が傍にいる事忘れてねぇか?」
「どーせ富丸は3組の担任だろ?これでサボるとか言ったら喜ぶと思ったんだけど。」
懍の言葉に富永は苦笑した。
そういえば、この女子生徒には何故か全て筒抜けなんだったな。
そしてたまに懍は意地悪だ。
2人の仲が悪いのには、ちゃんとした理由がある。
それさえなければ、もしかしたら仲の良い生徒と教師だったかもしれない。
2人共、お互いを根から嫌いになった訳ではないのだ。
「…なんてね。教師がそんな事言える訳ないじゃんね。」
「そん通りだし。そりゃお前みたいな生徒がいないに越した事はないけどな。」
懍は笑うだけで、富永の言葉には何も返さなかった。
懍と拓海と棗はそれぞれのクラスの列の1番後ろに付いて並んだ。
校長の話しが長くなく、比較的早めに終わるのがこの学校の良いところである。
始業式の終わりを宣言され、生徒は皆一様に教室へ戻って行った。
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