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「えー…、俺が3組の担任になった富永だ。これからテキトーに自己紹介してもらうから考えとけよー。じゃ、トップは御舟だから。」
「…は。」
「クスクス…、どーせさっきの腹いせだよ。いいんじゃない?一発ぶっぱなせば。」
懍の眉間に皺が寄る。
ふと、富永の不器用に着こなしたスーツが懍の視界を遮った。
「もしもーし?御舟、自己紹介よろしく♪」
辺りがざわめく。
この女が、御舟懍なのか…と。
若干13歳、中学1年にして学校の存在を意のままに出来た少女。
その名は外部生にも広く知れ渡っている。
「……御舟懍、附属上がり。現実的合理主義、利益至上主義。…………特技と趣味はサボり。1年間よろしく。」
明らかに機嫌を損ねた懍の声に、附属上がりはクスクスと笑い、外部生は沈黙した。
「おーし、じゃあ後は出席順でやんぞー。」
しかしただ1人、まるで雰囲気を気にせず進行をしている教師に、外部生も少し表情が緩んでいく。
懍は机に突っ伏して、面倒な自己紹介が終わるのを待った。
だいたい、こんな面倒なもんいらない。
だって全員の名前と顔くらい分かってる。
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