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若干16歳にして、学校の存在を意のままにし、生徒を裏から統括出来るこの少女には、それだけの事が出来るネットワークがある。
教師ですら手に入らない情報が、教師が生徒にバラしたくない内容まで、懍には筒抜けなのだ。
情報源は何処にでも存在し、幾つあるのかなんて数えた事もない。
「村上 雫です。」
まだ終わらないのかと溜め息を溢した懍の耳に、出席順で最後の生徒の名前が聞こえてきた。
たしかこいつは、私の隣だったか…。
懍は隣の席を見て、少し驚いた様に目を細めた。
「……趣味は、読書です。」
朝、懍と松本に退いてくれと敬語で頼んだ奴だった。
ブレザータイプの制服をきちんと着こなして、生真面目そうにいちいち喋る口調は敬語になっている。
顔だけ見ればそこそこ整っていて、モテる顔立ちだ。
しかし、優等生キャラが吉と出るか、凶と出るか…。
「それじゃあ、後は校内見学なんだが…。」
「そっからは俺らが進行するから、誠人先生は休んでて。」
ね、懍?
とでも言いたげな拓海の視線に、懍はめんどくさそうに席を立った。
クラスの雰囲気を掴んどきたいとはこの事である。
外部生も熟知していないと、情報通の名がすたる。
「…えーと、まずはクラスを2グループに分けるんで、番号順に半分で切るわ。」
そうすれば、前半のグループには拓海が入れるし、後半には私が入れる。
富丸は拓海に付くだろうから、ウエイト的には調度良くなる筈だ。
「ウチのクラスは34人だから…、17番は……あぁ、お前ね。そゆことだから、よろしく。」
17番は附属上がりで、よく一緒にカラオケとか行ってた女だった。
まずは前半のグループを地下に向かわせるために、拓海を見た。
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