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「どうした?前半グループはもう出発した筈じゃ…」
「あのね、この子…」
「増田 志歩(マスダ シホ)?なんで残ってんだ?みんな地下にいんぞ?」
懍は小雪の後ろに立つ気の弱そうな女子生徒に声をかけた。
この女子生徒はたしか、自分の前の出席番号じゃなかっただろうか。
「あんたが苛めた男の子が残ってたから声をかけてたら、グループに置いてかれたんだってさ?」
「そ、そんなっ私が勝手に残ってただけで、あの…っ!」
必死に弁解しようとするその少女に、懍は優しく笑った。
手で掴めそうなぐらい小さな頭に、懍の手を置く。
「今きっと体育館から出て実験室にいると思うから、雪に連れてってもらえ。あと…、悪かった。半分は私のせいだ。」
半分どころか、殆どが自分のせいだ。
懍の行動が予想外だったのか、少女はしばらく驚いた様に固まっていた。
「じゃあ、雪。お前は後半グループと一緒にいろよ。1人で行動しようとすんな。」
そんな少女を小雪に任せ、懍は教室のドアを開ける。
「……自分勝手に行動しないでもらえないか?」
やっぱ、まだ残ってるし…。
そして机に突っ伏している村上に、懍は頭上から言葉を投げ掛けた。
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