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懍はさりげなく4人の輪から抜ける。
言い争いしている棗と松本は気付いてないし、拓海は少しはにかんで頷いてくれた。
「………お、いたいた♪」
しばらく歩いて、懍は体育館裏まで来る。
そこには、非常識に群れる不良の一群がいた。
「おはちぃーっす、皆さん!」
「御舟さん…っ!?」
「懍ちゃんっ!」
懍の声に反応したのは、外人並みの金髪と、いかにも遊んでるオーラ全快の茶髪の男子生徒の2人。
2人を囲む様に集まる奴らは、懍を見て各々が臨戦態勢を取る。
「もー前みたいに叩きのめしませんよー?」
そんな奴らに懍は苦笑しながら軽く返す。
その時、風の悪戯か、懍の短いスカートが僅かにはためいた。
「……っと…。」
普通の女子なら悲鳴でもあげそうなシチュエーションだが、生憎ながら懍は普通の女子とは一味違う。
冷静にスカートを抑え、風に靡くサラサラのショートヘアーを掻き上げた。
「……在間先輩、龍宮先輩、おはようございます。」
「おはようございます。」
「おは。」
在間 典雅(アリマ テンガ)
親譲りの金髪を持つハーフ。
礼儀正しい言葉遣いと優雅な立ち振舞いが紳士的な印象を与えるが、実は校内一の不良である。
龍宮 朝来(タツミヤ アサキ)
茶髪で、見た目からして不良。
座右の銘は『女の子は宝物!!』で、基本的に女遊びが激しい。
2人は今年から3年で、実質的に不良を統括する立場にある。
「………新学期早々で悪いんですが…。」
そんな2人に、懍は微笑みながら話しかけた。
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