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――7/29 11:25 PM――
「暑い……」
アパートの一室。
俺、瀬川裕也はソファに寝転がり、団扇を扇いでいる。足の踏み場が無い程、俺の私物が散乱している狭い六畳間。私物とは言っても、そのほとんどは雑誌や、俺がこれまでに撮影した写真を収めたアルバムだけだ。
俺の隣では、テレビゲームを楽しんでいる2人の男女。男の方は、俺の幼馴染みである織田翔馬。サラサラとした長い髪をピンで留め、左へ流している。黒いフレームの眼鏡をかけた彼を見ると、いかにも賢そうな印象を受ける。女の方は、俺の幼馴染みでありガールフレンドの水瀬凛。彼女の美しい黒髪は、あぐらをかけば床にまでついてしまう程の長さがある。ぱっちりとした大きな目に、細い手足。背も高い。
そんな2人は、仲睦まじそうにゲームをしているのだ。
「おい翔馬、俺の彼女から離れろ」
「そうだな。悪い」
翔馬はポーズ画面にすると、立ち上がり凛から少し離れる。
「だーかーら、いつあたしは裕也くんの彼女になったのよ!?」
照れおって……!
俺は幼稚園の頃に、凛が「裕也くんの彼女になる」と言ったのを、今でも覚えている。だからその時から、凛は俺の彼女なのだ。
「それにしても、お前らはこの暑さ平気なのか?」
暑さのせいで俺は真夜中に起きてしまい、それから眠っていない。故に少々寝不足だ。だが、今寝てしまうと、熱中症でそのまま目が覚めなくなるかもしれない。眠気と闘っている最中でもある。
「裕也くんは、暑がりなんだよね~」
「その通り。それに裕也は、普段運動していないだろ? 体動かしたらどうって事はないぞ」
暑がりを運動不足のせいにしないでほしい。体力が無いのは認めるが……。
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