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――4:37 PM――
洋服売り場にやって来た俺達。周りの客は若い女性ばかりで、男は俺の他には数える程度しかいない。
「う~ん、迷っちゃうな~!」
凛は2着のワンピースを交互に見比べている。俺は以前、これによく似た状況に居合わせた事がある。あの時の凛は、靴だった。それがそっくりそのまま洋服に変わっている。
「どっちにするんだ?」
凛はしゃがみ込んだまま、「ん~~」と唸る。かなり集中しているようで、俺の問いかけに答える気は無さそうだ。色がちょっとだけ違うようにしか見えないから、俺はオシャレに疎いとか言われるんだろうな。
――4:43 PM――
「決めた!」
「それは良かったよ」
もちろん会計は凛だ。ここは彼氏がかっこよく、無言で財布からお札を抜くんだけどな。一度はそんな事やってみたいな。
「さて、帰ろっか」
「おぅ」
そして、荷物は俺が持つんだな。当たり前なんだけどさ。
――5:39 PM――
結局、フラッシュ光量の効果が分からないまま終わってしまった。だが、俺が7月31日からの3日間で、ほんの少しだけ未来が変わった。凛が靴を買うはずだったのが、服を買っただけの違いだが。おそらく、過ぎ去ってしまった過去を、やり直せるかもしれないのだ。
過去が変化するのは実証できた。俺は1つ調べてみたい事がある。それは、他人を撮った場合はどうなるのか。自分で自分を撮影すると、自分自身が過去や未来へ飛べる。
では、Aという人物がBという人物を撮影した場合、一体どうなるのかだ。仮に彩度を<+3>にして撮影した場合を考えてみよう。
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