第6章 カワルミライ

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考えられる可能性は主に2つある。1つは、Bが3日後へ飛ばされるパターン。もしそれが起こったとすれば、Aはどうなるのだろう。その時間に取り残されるのだろうか。 もう1つは、写真からBが消えるパターン。これは花を撮った場合と同じ。3日後の状態を現すのだ。ちょうど72時間後に全く同じ場所にいれば話は別だが、それは有り得ない。 こんな時間から翔馬や凛を呼び出すのは悪い。明日にしよう。 ――8/4(木) 10:54 AM―― 「よう翔馬、暇か?」 『ん? まぁ、暇だな。どっか行くのか?』 俺の知り合いって、暇な人しかいないんだな。呼べば皆来てくれそうな人ばっかりだ。 「実はさ、あのカメラで試してみたい事があるんだよ。手伝ってくれるか?」 『もちろんいいぜ。凛も誘ってもいいか?』 「あぁ、頼むよ。じゃあ、昼からな」 『分かった。またな』 通話を切り、俺は充電が満タンになったカメラの電源を入れる。俺は彩度を<±0>にして、とりあえず部屋を撮る。そして、フラッシュ光量やコントラストなどの設定を変えながら、部屋を何度も撮影する。 どれも同じだった。他の設定を変えても、何も変わらなかった。 「本当に彩度だけなのか……?」 このカメラのカラクリが彩度だけにしか仕組まれていないのが、逆に怪しい。 ――1:47 PM―― 凛と翔馬がやって来る。俺は2人を部屋の中へ招き入れる。彼らにこのカメラの事について話す。凛は何度も「え~!?」と言っていたが、翔馬はただ頷くだけだった。 「んで、裕也がこれから面白い実験をしてくれるんだな?」 「あぁ。2人には悪いが、被写体になってもらいたい。構わないか?」 凛は喜んで引き受けてくれた。だが翔馬は、渋い顔をするだけだった。楽しみにはしてくれているはずなのに、どこか不安な点があるような……。 「……裕也と凛のツーショットでいいだろ? カップルなんだしな」 さすが翔馬だ。長い付き合いだから、よく分かってくれている。 「それいいな。じゃあ、早速――」 「な、何で……」 「よし、そうと決まれば早速撮るぞ!」
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