第6章 カワルミライ

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――0:41 PM―― 「何する?」 「裕也くんが決めたらいいんじゃない?」 質問を質問で返す凛。いきなりの事だったから、何をするか全く考えていなかった。ノープランだ。 「大家さんのとこに行くか?」 「あたし知らない」 そうだったな。まだ2人は会った事が無かったんだっけ。紗江がいてくれると、凛の遊び相手にでもなってくれるだろう。 ――6:56 PM―― 凛と大家さんと紗江は、あっという間に意気投合。大家さんが作ってくれたお昼ご飯を食べ、その後は4人でゲーム。この歳になって、コントローラーを握るとはな。ついでに夕飯もご馳走になって、至れり尽くせり。 大家さんの部屋で俺と凛は別れる。 「じゃあね、また明日」 「あぁ、気を付けて帰れよ」 そして、いつもの夜に戻り、朝を迎える。 はずだった……。 2時間後、携帯が鳴る。テレビでやっているクイズの答えが気になっている俺は、テレビを視界に捉えたまま、手探りで携帯を探す。着信は翔馬からだった。 「凛帰っちゃったしな。怒鳴られそうだ」 手に取り耳に当たると、俺の予感は見事に的中。 『今どこだ!?』 思わず俺は、携帯を耳から離し、耳の穴に指を突っ込む。 「自分の部屋だけど」 『今すぐ附属病院に来い! 今すぐにだ!』 「なぁ、急にどうしたんだ?」 『事情は後で説明するから、早く!』 翔馬は一方的に通話を切る。かなり取り乱している様子だった。俺の脳裏で、凛の身に何かあったのではないかと、ふと頭をよぎった。いや、考えすぎだよな。きっと偶然だ。そうに決まってる。 そう思っている俺だが、身支度をすぐに済ませ、附属病院へ自転車を走らせていた。
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