第6章 カワルミライ

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――8:17 AM―― 山田は救急箱を持って来て、手に応急措置を施した。それから2人で散らかった部屋を掃除する。馬鹿な事をしたなと反省。 その後山田は帰り、静かな部屋に戻る。こんな時、隣に凛がいてくれればな……。 そんな事を考えていると、ふとカメラの存在を思い出す。俺は1つの希望を見出だしたような気がした。 「もしかしたら……!」 ポケットからカメラを出す。彩度を<+3>から<-1>に変える。つまり、昨日に行くのだ。これでもしかすると、凛は助かる。24時間前はまだ寝ていたな。翔馬からの電話で目を覚ましたんだ。 「今度こそ、助けてやるからな」 ――8/5(金) 9:13 AM―― 安らかな俺の安眠を妨げたのは、翔馬からの電話だった。 8月5日に戻れたようだ。今度こそ凛を守らないと。 「朝からどうした?」 『1つお前に頼みがあるんだが、構わないか?』 「何だよ?」 『しばらく、凛の傍にいてやってくれないか?』 やっぱりな。それを頼むと言う事は、凛は今生きている。俺は思わず「よし!」と叫んでしまいそうになったのを、なんとか抑える。とにかく、凛が生きていてくれればそれでいい。絶対に死なせるもんか。 「おう、任せろ!」 「……頼んだぞ」 通話が切れる。 「待てよ……」 俺が凛を呼んで、彼女が家へ帰る道中事故に遭った。じゃあ、呼ぶ必要はあるのか? 家から出せば、事故に遭わせる危険性が高くなるだけだ。 それに、もし事故に遭ったとしても、またカメラを使って今日に戻ればいい。凛が死ななくなるまで、何度も繰り返すしかない。 呼ばなければ事故に遭う事はない。俺はそう思っていた。
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