63人が本棚に入れています
本棚に追加
――9:01 PM――
のんびりとテレビを見ていた俺は、急な着信に驚いた。やっぱり翔馬からだ。
「また翔馬か――」
『一緒にいろって、今朝言ったよな!?』
彼の声は荒々しい。携帯に向かって叫んでいるかのようだ。それだけ重大な事態である事が、すぐに分かる。嫌な予感が的中しなければいいんだけど……。
「すまん、用事だとか言って……」
『……呼ばなかったのか!?』
どうして呼ばなかったって、翔馬は分かるんだ? 俺は嘘をつくのはあまり得意ではない。付き合いの長い彼は知っている。たった今の一言で……。
『今すぐ附属病院に来い!』
「な、なぁ……」
なんとなく分かってるんだよな。けど、やっぱり聞きたいんだ。凛の身に一体、何が起こったのか……。
「凛に……何かあったのか?」
「凛が軽く足を擦りむいた」とか「実は俺が怪我しちゃったんだ」とか、俺はそんなオチを待っていた。しばらくの沈黙の後、翔馬は口を開く。
『乗用車にはねられた……。いいから早く来い!』
そう言い、翔馬は一方的に通話を切る。
「嘘、だろ……?」
どっちにしても、凛は事故に遭う運命だとでもいうのか!? いや、そんなはずはない。きっと変えられるはず。
俺は再び昨日に戻る事を決意する。
――8月5日(金) 9:10 AM――
3分後、翔馬からのモーニングコールで俺は目を覚ます。たまらず俺は、自然と起きる事ができた。
――9:13 AM――
「あれ?」
そろそろ電話がかかってくるはずなのに、携帯が鳴らない。俺は彼に何もしていない。未来が変わったとは考えにくい。
「変だな……」
まぁ、電話の相手をしなくてもいいし、ラッキーと言えばラッキーだな。……まさかあいつ、凛と一緒にいるんじゃ……。
無いな、と俺は首を横に振る。
10時を過ぎ、俺は凛に電話をかける。
最初のコメントを投稿しよう!