第7章 輪廻

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自転車を走らせながら、早く冬になってくれないかと思う。地球温暖化が進むと、人類にとってメリットは何かあるのだろうか。今なんか暑すぎて、皆部屋に籠ってしまっている。 閑静な住宅街の一角に、凛が住んでいる家がある。凛だけではなく、両親も。 ご両親に彼氏と間違えられないだろうか。と言うのも、ここにやって来るのがかなり久しいからだ。一目で俺と分かってくれないかもしれない。それだけ大人になったという事だ。 ――11:05 AM―― インターホンを押すと、「はいは~い」と言いながら、凛ママが顔だけ出す。 「あらあら、裕也ちゃんじゃないの~」 凛ママの僕に対する呼び方は、今も昔も変わっていない。昔は3人でよく、この家で遊んでたな。 「凛に用事かしら~?」 「そうです」 語尾を伸ばすまったりとしたしゃべり方も、全く変わっていない。おっとりとしたお母さんだ。 「ちょっと待っててちょうだいね~」 「彼氏が来たわよ~」と、凛ママは振り向き様に言う。分厚い扉の向こうから、「違うわよ!」と照れながら凛がやって来る。 「案外早かったのね」 「会いたくて仕方無かったんだよ」 「親の前で、よくそんな事が言えるわね!?」 そりゃあ、凛の彼氏ですもんね。1分1秒でも、彼女と一緒にいたいからな。 「おばさん、しばらく凛をお借りしますね」 「どうぞどうぞ~。若いっていいわね~。私も昔は、お父さんと一緒に遊んでたわね~」 凛ママは赤らめた頬に両手を添える。昔の甘酸っぱい青春を思い出しているのか、幸せそうな顔をしている。 「後ろ、空いてるぜ?」 「結構よ。自分の自転車あるし」 いつになったら心を開いてくれるのだろうか。 「本当にいいのか?」 「うるさいわね! そこまで言うなら乗ってあげるわよ!」 俺の彼女はなかなか素直じゃないからな。昔から。
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