第7章 輪廻

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「風が気持ちいいな」 「そうですね~」 大好きな彼氏と2人乗りなうだって言うのに、凛は口を尖らせて拗ねている。そう振る舞っているんだと思っておこう。 「前見て漕ぎなさいよ」 「すまんな、ついつい可愛い凛の顔を見つめちゃったよ」 「そ、そうなんだ……」 凛は俯き俺のシャツの裾を小さくつまむ。なんて可愛い仕草をするんだ! 「どこか行きたい場所とかあるか?」 こうして風に当たりながら、彼女と2人乗り。誰がどう見ても、俺達はカップルにしか見えない。 「う~ん、しばらくこのままでいいかも」 「俺とくっつきたいのか?」 「……そんなんじゃないわよ」 振り向いて凛の顔を見てみたい。 「河原に沿って走ってみるか」 それから昼飯をどこかで食べて、昼からもそこら辺をうろついて……。とにかく、凛を1人にさせなければいい。今日1日は、凛と一緒にいてやらないとな。 「なぁ、今日の夜って用事でもあるのか?」 「ん? えっと~、分かんないや」 「そっか……。今日はずっと凛の傍にいるからな」 「……はぁ!?」 おっと、つい心の声が。いやいや、結果オーライだ。きっと嬉しそうな顔をしているはずだ。そう思っておこう。 「さて、そろそろ飯にするか」 引き返し、俺は小さな喫茶店を目指す。 この間当てた4等の1万円――大分前のように感じるが――で昼食を食べた俺達。その後は商店街のゲーセンに寄りイチャイチャ。プリクラ撮ったしね。もちろん、俺の肩に凛を抱き寄せて。彼女が俯いてしまって、いいのを撮れなかったのが心残りだけど。 ――3:25 PM―― 「何で俯いたんだ?」 「だ、だって……いきなりだったし……」 「長い付き合いなんだから、それくらい普通だろ」 「……うん」 元気無いな。無理に連れ回し過ぎたかもな。公園かどこかで休むか。 ――5:03 PM―― 緑に囲まれた自然が溢れる近所の公園にやって来た。公園とは言っても、植樹された草木ばかりで、滑り台やブランコ等は一切無い。あるのは自然とベンチだけ。 俺の体力は、グレートジャーニーを人力だけで横断したかのような疲労が溜まっていた。いくらスタイル抜群の凛を後ろに乗せていても、2人乗りはやはり疲れる。
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