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小さな手を繋いで歩く幼稚園からの帰り道。
青から朱へと変わっていく空を二人眺める。
「このまま見てたら、ママの声が聞こえて来そうだね。」
写真でしか知らないママ。
声も知らない。
なのにこの子は声が聞こえて来そうと言った。
「みぃ、やっぱりママがいなくて寂しいか?」
「ううん!全然寂しくないよ!だっていまはパパがいるもん!」
それは、嘘だと思った。
寂しくないわけがない。
幼稚園にも入れられないときはうちの実家に預けられており、一緒に住みだしたのもごく最近。
寂しい思いをさせたのきまってる。
そう思うと涙がでそうになった。
娘の手前、泣くわけにはいかないのでぐっと押し堪える。
「なあみぃ、パパと約束してくれないか?」
「約束?」
「そう、約束。この先、ずっと幸せでいるって。」
それはあいつと交わした最後の誓い。
ー生まれてくるこの子と、幸せになってね。
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