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「真田、本当にごめんね。お休みの日に、しかも夜に呼んじゃって」 「いえ、平気です」 「そう?でも電話ではなんか気まずそうな感じだったけど」 「いえ、まさか」 俺が仕えているのは今年23歳になる大財閥のお嬢様。 美波と同い年だ。 名前は宮下那弓(みやした・なゆみ)様という。 美波と同じように大学を出て、就職しているけれど結婚するまでの暇潰しくらいにしか思ってはいないらしい。 「嘘よ。声には出してなかったけど、雰囲気が“えっ!?”って言ってた」 そして、人の顔色を伺うというのだろうか? お嬢様なくせに人の気持ちに敏感な所がある。 「……実は彼女と一緒にいまして。会って早々に私が眠ってしまい、会話をほとんどすることなくここに来たので」 「やっぱり、悪いことしたわね」 「良いんです。彼女は話せば分かってくれるので」 そう言った俺を立ち止まってまで振り返り見つめる。 「ねぇ、真田?わがまま言わないんじゃなくて、言えないようにしたらダメよ」 そして年上の俺に見事なまでの忠告をしてくる。
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