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「はい。気をつけます」 「本当に分かってるの?」 「はい」 那弓様は一瞬、不機嫌そうな顔をして納得していないような雰囲気を出したまま、また歩き始める。 今日は婚約者(仮)にいきなり呼ばれ、パーティーに参加することになったらしく、那弓様は珍しく不機嫌だ。 「那弓お嬢様、楽しみましょうね」 「良く言うわよ」 帰りたいんだろうなというのは分かるけれど、ここで帰らす訳にもいかない。 婚約者として挨拶をしてもらわないと。 「那弓様、あちらに村瀬様が」 「うん。にしても呼んだ本人が私に会いに来ないって何なの」 さっきから婚約者(仮)を探しているが、見つからない。 向こうの執事も見つからないため、ここにいない可能性もあるがそれは言わない。 「真田」 「はい?」 「気持ち悪い顔で笑うのやめて」 「気持ち悪い……?」 作り笑いのこと。 那弓様と2人ならまだしも、他の人がいるのに作り笑いをするなという。 そもそも俺の作り笑いは癖のようなものだ。
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