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那弓様は気が強い。 まぁ、美波も強いけど美波は俺の一歩後ろを歩こうという姿勢がまだ感じられる。 「那弓様。出社のお時間が迫っております」 「分かってる。……もしかして、いる気?」 「はい。会社に入られるまでお見送り致します」 「性格悪いわね」 「まさか。私の趣味でございます」 ニコッと笑うと、すごい勢いで睨まれた。 何かあったら止めに入るために最後まで見守る。 結局、何もなく那弓様が婚約者(仮)をビンタして会社に入って行った。 昨日、最後までパーティーにいなかったことを責められたんだろう。 俺も婚約者(仮)に笑顔で一礼して、屋敷に戻る。 「真田、今帰ったの?遅かったわね」 「はい。色々ありまして」 「また那弓ちゃん何かしたの?」 「解決しましたのでお気になさらずに」 「そう?」 「はい」 那弓様の母親。 つまり奥様と那弓様は顔は似ているけれど、性格は似つかない。 那弓様のあの性格は、間違いなく旦那様から引き継がれていると思う。
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