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楽しみにしすぎて、9時30分には駅に着いてしまった。 いつもの待ち合わせ場所。 真田さんの家の最寄り駅でもある。 私たちは先月、付き合って半年だった。 でも、付き合い出して会うのは今日で7回目。 半年だからってお祝いしたわけじゃないし、真田さんからのプレゼントも何もない。 不満なんてない、なんて言えない自分がわがままな気がして落ち込む。 「美波、おはよう。今日も早いな」 「真田さんだって」 9時40分過ぎ。 真田さんが迎えに来てくれた。 執事という職業柄か、30分前行動なんて当たり前の真田さん。 「ほら、行こう」 「うん」 手を繋いでゆっくり歩く。 こうして隣りにいるとやっと彼女になったような気がして、ほっとする。 「スエットとかじゃないんだ」 「格好?」 「うん。家だから楽な格好してるのかと思った」 薄手のカーディガンの下はワイシャツ。 下はチノパン。 カジュアルながらビシッとしている。
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