僕らは正反対

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僕には双子の兄が居る。 名前は聖南-セナ-。 僕の、自慢の兄様。 キラキラの太陽みたいな、サラサラした金色の綺麗な髪の毛。 切れ長の大きな目は、空を閉じ込めた様なスカイブルー。 ふっくらした白い頬は、ピンクに淡く色づいていてまるで少女の様。 赤くぽってりとした愛らしい唇。 華奢な、小さな体。 美少女、という言葉がピッタリの、庇護欲を誘う天使みたいな兄様。 いつも明るくて、眩しい笑顔を浮かべてて、皆に愛されてる。 誰にでも平等で、優しくて……本当に天使みたいな兄様。 恵まれた環境を鼻に掛けないところも、全部全部全部… そして僕は正反対。 名前は黒雨-クロウ-。 この時点で、だよね。 聖南に黒雨…悪意を感じる… 漆黒、暗い黒で、背中まで伸ばされた父様似の髪の毛。 少し垂れた気の弱そうな目は、髪と同じ暗い黒の目。 線の細い幸薄そうな顔は白い…というか青白くて、唇も薄め。 身長は兄様と同じ位で、体は華奢というよりガリガリで貧相。 可愛いなんて程遠い、普通以下の誰も目を向けることのない容姿。 昔から病弱で、入退院を繰り返してきたせいで、人と関わる方法が全くと言っていい程分からない。 暗くてつまらない、勉強しか能の無い不要な存在… 正反対。 兄様は陽、僕は陰。 親も、友も、誰も… 僕に目を向けることをしない。 愛してくれない。 愛をくれたのは、母様だけ。 誰か、 僕に、愛を……  
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