再会

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「あ、ぁあ…兄様!!!」 気付けば、駆け出していて。 「黒雨…!?」 はっきりと、容姿とギャップのある少年らしい声で、呼ばれた。 気付いてくるたー…! 思わず、俺は抱き着いていて。 「兄様…会いたかった…っ」 ぎゅっと抱き着く僕に、兄様から戸惑いが伝わってきた。 「わっ?!」 いきなり、首元を引かれて、誰かに兄様から剥がされた。 振り向くと、 「生徒会長…」 会長の、鳳龍雅先輩が居た。 「貴様…香月黒雨か…?…そうか…聖南の本名が香月で……貴様と聖南は、双子の兄弟か。」 確信したように、ひとり頷く会長に、僕は緊張気味に頷いて肯定した。 そして、我に返る。 兄様の後ろに控える… 緋藤啓人副会長。 黒渕双子会計さん。 飯島優太書記。 皆、食堂中の視線が、こちらに注目していてー… 「す、すみません…」 申し訳なくて、小さく謝った僕に、生徒会役員さん達は何か言いたげにしてたけど… 「またお前は…謝るばっかりするなって言っただろ!鬱陶しいぞ!!」 …っ!! 自然と、顔が歪む。 やばい…涙が… 兄様に、否定された… 「もういい!取り敢えず、俺の部屋に来いよ!この世界に来てから俺、有名人なんだぜ!」 話してやるから早く来い!と続けて、兄様は僕の手を引いた。 兄様、自慢気で可愛い… 僕の腕を掴む兄様の手は、か細くって綺麗なのに、僕の腕が少し歪になって、骨が軋むくらい力が強い。 興奮してるのかな…無邪気だなぁ。 なんて考えながら、ふとミラト君とケイさんに目を遣る。 妙に怒ってるような、心配そうな表情が、脳裏に焼き付いた    
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