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けど、その今にも逃げたしたい程に恥ずかしい思いをした音楽室から出ようとすると僕の踏み出した右足は止まった。
「あ、あの…」
「ん?…どうしたの」
僕は真っ赤であろう顔で精一杯頑張ってもう一度、雪波先輩を呼んでみた。
特に理由は無かった…――けど、僕は雪波先輩呼んでしまった。
そして、先輩はその呼んだ理由を僕に聞いている…
「明日も来て…いいですか?」
雪波先輩は一瞬、「っえ」…と言うような驚きの表情を見せたが返事は即答だった。
「もちろん!私も来て欲しいと思ったの!」
「…っあ、ありがとうございます!!」
僕は相当嬉しかったのだろう…勢いでお礼を言ってしまった。
最初から、この言葉が言いたいために僕の足は音楽室を出ようとすると止まってしまったのかもしれない。
でも、僕は自分の気持ちに気付いてやることが出来なかった。
「明日もお昼休みのこの時間にここで待ってるね!」
「はい!絶対に行きます!!」
僕はそう言うと、もう一度音楽室のドアを開けて一歩踏み出してみた。
さっきとはうってかわって、僕の足は軽快なステップ踏みながら音楽室を飛び出した…
勿論、顔を真っ赤にしながら。
そして、背中の方向から『ガチャン』と言う音楽の扉が閉まる音がすると僕は腰の辺りで小さくガッツポーズをしてみた…。
多分この今の嬉しい気持ちは、明日も雪波先輩の歌が聞けるからだろうな…。
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