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「ふぁーあ。…さぶっ」
まだまださぶさが厳しい時期、冬の冷たい風が二階建て一軒家、訳あって高校1年の妹と僕の二人で住む青い屋根の我が家に吹き込む。
その日の朝、僕は大きな伸びをしながら長く短くこれと言った出来事のない平凡な土日の冬眠と書いた休日から目覚めた。
時刻は朝の7時40分。
このままいつも通りのペースで着替え・歯磨き・トイレ・朝食をすましたのなら、学校には確実に遅刻するだろう。
「兄さん!もう起きないと遅刻だよ!!」
僕の部屋のドアの外から、もうとっくに起きて今から僕がやるべき事を全てすましたであろう妹の有子-ユウネ-のハキハキとした声がする。
「あー。わかってる」
僕はそう言いながらのそりとフカフカのベッドから起き上がりのんびりと支度を始めた…こりゃ遅刻かな。
制服に着替えて歯を磨いてリビングに行くと、そこには食パンを小さい口でくわえながら一生懸命にニュースを見る有子がいた。
「っあ!おはよう。兄さん!」
そう言いながら見せる満面の笑みは、短い髪の似合う妹に一番似合う表情だ。
まったく、朝から元気だな。
「ああ、おはよ…ふぁーあ」
「あれだけ寝てまだ寝たらないの?…今から急いでご飯食べたら学校まで時間は余裕だから、もう一度顔洗ってきなさい!」
有子は、「は~」…と深いため息をして、どこかのお母さんみたいな口調で息子(兄)に説教した。
「わかってるよ、母さん。」
「だ、誰がお母さんよ!それに兄さんの方がもっとしっかりするべきでしょ!」
そう言いながら僕に向けるその表情からは満更その呼び方も嫌いではない…と言う風にとれた。
「はいはいわかってるよ。しっかりしますよ。」
僕がそう言うと妹は「むぅ~」と両頬を膨らましてうなった。
ここまでが僕の朝のお決まりのいわゆる日課だ。
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