2人が本棚に入れています
本棚に追加
赤く錆びたように澱んだ空と
所々に浮き漂う青黒い暗鬱な雲
空はどこまでも俺の身を抉る
犯した罪を償えと
忘れる事を許さない
あの日の罪を 贖えと
催促したって逃げられやしないのに
裂けた傷に 塩を撒くのはさぞ愉快だろう。
「…おい」
「よぉ 」
頭上から声が降ってくる
それを追うようにして視界の中に現れたのは、腐れ縁であり、任務をこなす上でのパートナー
オスカー・ギルバート・グレイクロウ。
普段通りむっつりとしたどこか不機嫌そうな顔つきのオスカーだが、今は怪訝に見ているのだという事がわかる。
「こんなところで何してる…雨が降ってるって言うのに。 …馬鹿か?」
「あぁそうさ…俺は馬鹿だ。違いねぇ」
訝しいとでも言いたげな顔のオスカーは、どうやらもどかしさと多少の歯痒さに駆られているようだ
「気でも狂ったのか?さっさと部屋に戻れ」
「心配してるのか?」
「お前に体調を崩されるとな 俺の仕事が増えるんだ。知らなかったか?」
冗談でも言うような口振りだが、その目はしっかり怒りを含んでいる
「あんまりカリカリしてっと ……
ハゲて頭が寂しくなるぜ。おい、銃口は向けるなよな」
「…何かあるなら聞いてやる。とにかく雨ざらしになるのはやめろ」
幾分かの沈黙を絶つように
オスカーは溜め息をついた。
雨脚は強まって行く。
何処の誰が言ったか、まるで嘲笑うようにとはこういう事を表現しているのだと思った。
最初のコメントを投稿しよう!