お題:『実り』

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「……今度ハンバーグ作ってほしい」 ギュッと若槻を抱きしめながら斎は耳元でいった。 「え?」 斎の胸から顔を離し、若槻は斎をジッと見た。 「小さい頃さ、二人で留守番してた時作ってくれたハンバーグ上手かったなぁ。 あれからだよ。 俺がハンバーグ狂になったのは」 頬をポリポリかきながら斎は言う。 「そうだったの」 斎の意外な発言に若槻は驚きと嬉しさを隠せなかった。 「だからまた作ってほしい」 そういって斎は顔を真っ赤にした。 「わかったわ。 だけど、不器用だから上手く出来るかわからないけどね」 斎の大胆な発言に戸惑いながらも若槻は深く頷いた。 「期待しないで待ってる」 少し悪戯っぽく斎はいった。 「意地悪」 ぷぅっと若槻はわざと頬を膨らませた。 「……ハンバーグ以外も食いたいな」 斎は思い切ってプロポーズに近い発言をする。 「プッ。 食いしん坊さんだなぁ」 斎の言葉に、若槻はゲラゲラと笑った。 「まぁな! (そういう意味じゃなかったんだけど……ま、いいか)」 斎は若槻の反応に苦笑いした。 真面目だけど天然な若槻 梓。 斎はそんな彼女を愛しく思った。 そして、大切にしようと心に誓った。 幼なじみから上司と部下……。 やっと恋人同士になれた二人。 恋が実った二人に幸せが続きますように……。
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