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とある大企業。
いつものように流れる時間。
のはずだが……。
「……どうしていつも君はそうかなぁ?
ん?
ん?
部下への面目丸つぶれでしょ?」
頭が少し寂しく小太りのスーツの男が頭を掻きながら困惑してる。
この男はこの課の課長である。
「いや、ついですね……」
怒られた男はヘラヘラ笑って誤魔化す。
彼の名前は斎 雅樹(いつき まさき)。
この課の係長である。
若くしてトントン拍子に出世したエリート……だがどこか抜けている。
ちょっと長めのサラサラの黒い髪に長身で細身の彼。
顔立ちも良くインテリ風の眼鏡がよく似合う。
黙ってれば文句無しのイケメン
なのだが、実に勿体ない話である。
「『つい』じゃないよ。
頼むよ、君は係長だよ?」
小太りの男、この課の部長は斎に呆れている。
「はぁ、まぁ……」
斎は生返事をする。
全く反省していない様子である。
「ねぇねぇ、また斎係長怒られてるわよ」
ひそひそ……。
ひそひそ……。
「今度は何やらかしたんだろ」
ざわざわ……。
ざわざわ……。
社員達は斎のいる前で斎の噂話をしている。
「…………」
その社員達に混ざって一人の女性社員は露骨に嫌そうな顔をしている。
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