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「不器用でいつも貧乏くじ引いて、嘘がつけないくせに部下をかばって……」
真面目な顔して若槻は言う。
「えらいないわれようだな、オイ」
斎は思わず苦笑いをする。
「斎係長!」
「ぶばっ!」
いきなり声をかけられ、斎は思いっきり口から噴出した。
「げっ!
汚っ!」
反射的に若槻は避ける。
「うほっ。
井上か。
びびって吹いちまったよ」
内心華麗に避けた若槻に感心しながら、斎は口周りをふいた。
いいところが台なしである。
「え?
すみません」
雰囲気をぶち壊した張本人である井上は、状況が理解できなかったがとりあえず謝った。
「あたしも被害者なんですけど?」
嫌味たっぷりに若槻は言う。
「あうっ。
ごめんね。
若槻ちゃん」
若槻から変なオーラが出てるのに気づき、井上は謝った。
「……いいよ。
井上君は悪くないし。
悪いのは……」
そう言って若槻は斎に視線を移した。
「俺?」
くいっと自分を指差し、斎は尋ねる。
「そうです」
若槻はコクリと頷いた。
「あんびりぃばぼー」
顔に手を当て斎はムンクの叫びみたいな顔をした。
どてっ。
斎の反応に若槻は突っ伏した。
「リアクション激しいな」
突っ伏してる若槻を見て斎は言う。
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