12人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ・の・ね!」
若槻は突っ伏した時に強打した鼻をさする。
「んで、井上どうした?」
若槻なんかお構いなしに斎は井上に話をふる。
切り替えが早い。
「いやさっきの謝りに……」
言いにくそうに井上は話を切り出した。
「ん?
何の事だ?」
意味がわからず斎は首を傾げた。
「いや、俺がパソコンの電源誤って切ってしまってデータぶっ飛んだじゃないですか。
あの件で……」
説明臭く井上は言う。
「あぁ。
今日期日のコラボ企画ね」
思い出したらしく斎は手をポンッと叩いた。
「はい」
申し訳なさそうに井上はコクリと頷く。
「あれね。
俺がバックアップとってなかったから悪かったんだ。
気にするな」
手をヒラヒラさせて斎は言う。
「でも……」
あまりにも斎が怒らなさすぎて、井上は不安になっていた。
「でももタワシもない。
俺は急用が出来たから去る。
じゃあな」
そう言って斎はさっさと食堂を出て行った。
「斎係長……」
斎の後ろ姿を井上は見つめていた。
「普通さ『~もへちまもない』っていうのに何でタワシなのかしら」
若槻はどことなく接点がずれてる。
そして何故か真面目な顔をする。
「…………」
井上は複雑な顔をしている。
最初のコメントを投稿しよう!