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「 誌乃…!」
駆け込んで来た慎一を見て、誌乃は少し照れたように笑う。
慎一は、そんな誌乃のおでこに手を添えながら、いつにも増して優しい眼差しを向けた。
その何とも言えない表情に、誌乃の瞳は段々潤んできて…、
涙でぼやけて、慎一の顔が見えなくなった。
「……誌乃…」
嬉しいとか、良かったとか、掛けなければならない言葉は沢山ある筈なのに、どんな言葉を並べても、今の気持ちが上手く言い表せない。
ただ…、少し震える指先で、溢れた誌乃の涙を拭い、優しくキスを落とすだけ。
「……家族が…、増えるかも…」
同じ様に震える声でそう言った誌乃に、ああ、と笑った慎一は、少しだけ…、
目頭が熱くなっていた。
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