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「 これから真っ直ぐ、松浦医院に向かって欲しい 」
車に乗り込んですぐ、そう言った慎一をバックミラーで見ながら、
「 松浦医院…、ですか?」
と啓輔が確認すると、慎一は視線を合わせ、小さく笑う。
「 誌乃が…、妊娠したんだ 」
えっ!? と啓輔は振り返った。
「 何故、もっと早く報告してくれなかったんです?」
仕返しですか、と少しムッとしたように言う啓輔に、
「 そうかも、ってだけで、まだ詳しく診てもらってないから…」
と誌乃は慌ててそう言った。
慎一は、大丈夫だ、と誌乃の肩を引き寄せる。
啓輔もその表情を穏やかにすると、承知しました、と車を発進させた。
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