10061人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
「……そうだったんですか 」
いつもよりハンドルを握る手に緊張感を覚えながら、啓輔は慎一の話を聞いてそう言った。
「 妊娠初期は、風邪と症状が似ているらしいですからね…。
沙織も最初はそうでしたし、後はやたら眠くなるとか 」
バックミラーをチラッと見れば、誌乃は慎一にもたれ掛かり、スヤスヤと眠っていて。
こんな可愛い寝顔でママになるのかと思うと、啓輔は思わずクスッと笑う。
「 誌乃は元々、すぐに寝ちまうところがあるからな…」
誌乃の髪をそっと指先に絡め、クルクルと弄びながら…。
時折、カクッとなりそうな誌乃の頭を支えながら、慎一は終始、穏やかな表情を見せていた。
最初のコメントを投稿しよう!