10063人が本棚に入れています
本棚に追加
/714ページ
「……これ…、同じの持ってる…」
誌乃は、枕の下に忍ばせていた古い御守りを取り出した。
「 お母さんの形見のと同じ…」
源一郎は驚いたような顔で、その御守りを手にした。
「 これは…、わしが都にあげたものだ 」
そう言った源一郎は、感慨深げに目を閉じる。
都の姿が鮮明に浮かんだ。
この御守りを都が持っていてくれた事が、今それが誌乃の手にある事が嬉しかった。
「 じゃあ、この御守りも…、きっと効くね。
おじいちゃんの御守りで、私が無事に産まれたんだもんね…」
そう…、
都の苦しみは、こんなものじゃなかった筈だから。
自分もきっと、頑張れるはず。
最初のコメントを投稿しよう!