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「……何だよ 」
ニヤニヤと笑う啓輔に、慎一は怪訝そうにそう言った。
啓輔は、いいえ別に、と言いながら…、やはり可笑しくて笑ってしまう。
「……ただ…、幸せだな、と思って 」
うっすらと陽が射しているのに、どこからか雪が舞って来る、そんな不思議な空を仰ぎながら…、
慎一も、そうだな、と呟いた。
「 雪を見ると思い出すな…。結希が産まれた日の事を 」
「 さっきも…、誌乃さんとそんな話をしていたんですよ 」
ああ…、だからか、と慎一は小さく笑った。
あの日の事を思い出して…、誌乃は泣いていたのかと。
「……あの日の事は…、忘れられないよな…」
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