春の雪

26/41
前へ
/714ページ
次へ
「 社長!大丈夫ですか!? 」 直ぐ様後ろを振り返ってそう言った真木に、慎一は、ああ、と答えた。 どうやら、スリップして突っ込んで来た対向車を避けようとして、ハンドルを大きく切るしかなく、その弾みでガードレールに少しぶつけたようだ。 慌ててシートベルトを外して車を降りると、突っ込んで来た対向車は他の車に追突したようで、瞬く間に騒ぎとなった。 幸い、それ程酷い状況ではなさそうだったものの、道が塞がれ、とても先に進めそうになく、慎一は極度の焦りで一杯だった。 「 社長、…申し訳ありません!」 深々と頭を下げる真木に、後は頼むと言い残し、慎一はガードレールを飛び越えた。 行くしかない。 そう思った。
/714ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10080人が本棚に入れています
本棚に追加